SDGs課題研究セミナーにご参加いただき、ありがとうございました。
あらためまして、Sophia Global Education and Discovery Co., Ltd.です。日本の上智大学(英語ではSophia University)が、タイの首都バンコクに2019年に作った新しい会社です。
東南アジアをフィールドにした、実践的・グローバルな学習の機会を、タイと日本のスタッフが一緒につくっています。

今回のセミナーでは、Sophia GEDはタイからの通信、初の大規模のオンラインセッションということもあり、色々チャレンジングで、ご不便をおかけしたり、不十分なところもあったかもしれません。
ですが、普段タイあるいは日本での拠点となる東京にいてもお会いすることがなかなか難しい方々を含め、たくさんの生徒・学生のみなさん、先生方や教育関係のみなさま、保護者のみなさまも含め、学ぶことや社会課題などへの意識を持っておられるみなさまとの時間を共にすることができ、貴重な機会となりました。

こんな時だからこそ、広い視野をもって学ぶことや考えることは大事ですし、人が人として、考えて、たくましく生きることで、これからの日々を作っていく、作っていける、という実感もあるのではないでしょうか。
Sophia GEDも、色々情報を収集し、考えて、挑戦しつつ、みなさんと一緒に学びの可能性をつくって、広げていきたいと思っています。私たちも日々探究です。

どうぞよろしくお願いします。

今後の学習に向けた材料やヒント

今回のASEAN SDGsレクチャー、ガイダンスに関連した資料や情報を載せます。
セミナーの後に振り返って見ていただきつつ、今後の学習活動の参考などに、活用していただけたら嬉しいです。


セミナーでの資料データ

① レクチャー「持続可能なASEAN共同体の構築へ向けた課題を考える – SDGsの観点より-」資料 (公開用に一部改変してます)

② ガイダンス「ASEAN SDGs フィールドプログラム」資料

このサイト内のリンク
・フィールドプログラム一覧 
– Sophia GEDのプログラムの事例
・中高生向けフィールドプログラム
 - 紹介したモデルプログラムほか


セミナーでいただいたご質問・コメントへのお返事

セミナーでは、貴重なご質問やコメントをいただきありがとうございました。お時間の中でお答えできなかったものも含め、簡単ではありますが、こちらでお返事を掲載させていただきます。

ご質問:海外研修の行き先として、欧米とASEANの大きな違いはなんでしょうか?

ご質問ありがとうございます。欧米は、成熟した社会で、それなりの歴史や文化がありますから、そういったものを中心に学ぶもの良いでしょうし、英語を直に学ぶのも良いと思います。また欧州と北米では、社会の成り立ちに違いがありますし、同じ英語でも英国とアメリカの英語との違いがあり、そういった差異を意識されても良いでしょう。
一方、ASEANは、成熟との対比で変化している地域です。ダイナミックに経済社会が変化しています。そういうものを、直に感じることができる場所というのは今の世界ではあまりないですね。変化を感じられる一つの地域が、日本から比較的近いASEAN地域にある、それが大きな違いなのではないかと日々感じています。

ご質問:日本と比較して、ASEAN諸国は国として子供達の教育に力を入れていますか?また教育は格差を解消する方法の一つと考えて良いでしょうか?

ASEAN諸国も、政府の公的な支出としては、教育へ政府予算の20%近い支出をしています。これに加えてもちろん家計も支出しています。ということで国として非常に力を入れているのはその通りです。ただ、教育というのは結果が出るまでに時間がかかります。教育に投資をして、それがちゃんと学習成果として出てくるまでに時間がかかるということです。これは、教師を訓練したり、学校での施設環境を整えたり、教科書や教材を整えたり、やることが非常に多いです。そういう意味では国家予算では足りないのです。国としてまた家計としても力を入れていますけど、日本と比較した場合は、学びの成果、学習達成度という指標がありますけど(本質的な学びはもっと広い意味ですけど)、それに関していえば、日本の教育成果というのはASEANの国々より高いと言われています。ただ、学びの仕方、いわゆる問題を発見したり、解決を考えたりするような力というのは、ASEANはなかなか進んでいます。児童中心主義的なアプローチの導入にもう10年以上前から取り組んでおり、全部の学校とは言いませんが、いくつかの学校では非常に先進的な取り組みがあり、日本の学校の皆さんも勉強や参考になるような授業を展開しているのがASEANです。

社会の格差を解消することについては、私は教育の力を信じています。例えば貧困層からどうやって抜け出すか、それはやはり教育の力であり、それに尽きるというくらいの大きな力を持っていると思っています。講演で紹介したタイのバンコクのスラムや少数民族の子供たちもそうですが、教育の機会を得て、学力やスキルを身につけて、それで社会を生き抜いていく。教育による力で格差を解消する一つの、しかし非常に大きな力になる思っています。

ご質問:タイの無国籍問題などに対して、タイ政府は対策を講じたりしていないのですか?(他国政府も同様ですが)
あと、お話してくださったそれらの課題を解決するのに学生でも(今でも)できるアクションは何ですか?

タイ政府による無国籍問題への対策としては、まず無国籍問題の所在を認めることでした。無国籍者は「出生証明書」や「住民登録票」等がなく、どこにも登記されていないために無国籍となっているので、タイ政府もその人数や所在を正確に把握してなかった経緯があります。タイ政府は、この無国籍問題を認め、2005年に国籍取得のための法的枠組みを制定し、無国籍者の国籍取得を進めるため2008年に法改正を行っています。それでも、2018年のサッカー少年らの水没洞窟内の行方不明事件で発覚したように、まだ多く無国籍者がタイ北部やタイ全土に渡って暮らしている状況です。
そこで、 課題を解決するのに学生でもできる行動ですが、例えば、タイ北部の山岳少数民族で無国籍の子供が通う学校や都市スラムのバンコクのクロントイ地区で無国籍となっている子供たちが通う学校への寄付(奨学金など)やボランティアとしての支援が可能と思います。しかし、無国籍問題は政府が動いて法的な諸問題を解決しない限り、根本的な解決策には至りませんし、都市スラムにおける無国籍者の増加など新たな問題に対処するには個人レベルでは限界があります。そこで、組織レベルでの支援にどのような方法があるかを探るには、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の駐日事務所を訪問してみることをお勧めします。また、日本でのUNHCRの公式支援窓口として、特定営利活動法人国連UNHCR協会があります。これらの事務所や協会を訪問して、自分にはどのような支援が可能か、また無国籍に問題に関する自分の立ち位置は何であるか、などを確認するきっかけにして欲しいと思います。

ご質問:私はベトナムでのchild careをしたのですが、このような体験で感じた課題や現状を伝える他に、どのようなことが出来るでしょうか?

ベトナムで子供のケアをなさった体験は貴重です。恐らくケアをなさった幼稚園や特別支援施設は、貧困層の子供を対象にしており、教員不足、施設の未整備、教材・玩具の不備、また家庭内の問題や子供の栄養問題など、多岐に渡る課題を抱えており、体験ではそれらを目の当たりになさったことと思います。もちろん日本の友人や仲間を誘って、そのような体験をより多くの人々と共有できると良いと思います。
さらに出来ることは、この体験からより深い学び、すなわち課題研究に繋げる取り組みをお勧めしたいです。チャイルド・ケアは、就学前教育といって、近年、その重要性への認識が高まっています。特に幼児期に受ける教育の有無とその質の良し悪しが、その子供の将来に渡って、長期的な影響があることが証明されています。先進国と発展途上国を問わず幼児教育への投資として奨励されています。ベトナムにおいて、就学前教育の歴史や制度がどうなっているのか。ベトナム政府による政策はどうなっているのか。また「教育の社会化」といわれる家計による就学前教育の費用負担はどのような構造になっているか、また就学前教育における学びのプロセスはどのようなものか、児童中心の学びが展開されているか、など興味深い問いかけが沢山ありそうです。

コメント:タイの人々との交流に興味を持ちました。

ありがとうございます。実際に話してみることで、タイの方々の雰囲気を感じていただけるのではと思います。同じアジア圏、お互いに英語が母語ではなかったり、高校で日本語を学ばれている生徒さんたちも中にはいたりと、日本の方、特に中高生の皆さんには、国際交流の良いステップになるのではないかと思います。また、フィールドプログラム等にも同行するSophiaGEDのスタッフも、個性豊かでさまざまな話題提供ができると思います。スタッフと話していただくのも良い機会になると思います。
特に今の状況もあり、オンラインでの交流も検討したいと思っています。以前、日本の小学校での講座の一部として、SophiaGEDオフィスとskypeで繋ぎ、通訳を挟んだり、日本語を話せるスタッフが入りつつ、現地スタッフとお話していただいたこともあります。「タイは何の食べ物が美味しいですか?」「トムヤンクンとかかな」「トムヤンクン!聞いたことある!」など、とってもシンプルですが、想像以上に豊かな時間になりました。

コメント:インドネシアでの短期研修プログラムを行っていますが、ほかのASEAN諸国にも関心を持ちました。今後検討したいと思います。ありがとうございました。

ありがとうございます。インドネシアも、大きな島国としての多様性や豊かな自然、その他さまざまな面で大変面白い国だと思いますし、ASEANにおいては、ASEAN共同体の事務局が置かれている重要な国でもあります。
SophiaGEDはタイに拠点があることもあり、まずは陸続きのラオス・カンボジア・ベトナムなどでのプログラムがこれまで多くなっていますが、他の国や地域に広げていく準備も進めています。
インドネシアの事例と合わせてまた別の国を見ていただくのも、比較の観点も含めてとても面白い学びになるのではないかと思います。すでに実施されているインドネシアのプログラムを踏まえて、タイやタイ周辺国などのプログラムをデザインしてみるのも双方を一段深められる可能性がありそうです。インドネシアの情報も教えていただけたら嬉しいです。


おすすめの本

セミナーで少し紹介する参考文献や、Sophia GEDのスタッフが中高生の頃に読んでいた本、特にその後の国際的な興味や活動につながっていると思っているものなどを載せておきます。

■SDGs関連

SDGsを学ぶ: 国際開発・国際協力入門

高柳 彰夫・大橋 正明 編
法律文化社(2018)

SDGsと開発教育:持続可能な開発目標ための学び

田中 治彦・三宅 隆史・湯本 浩之 編著
学文社(2016)

■アジア経済論

新興アジア経済論―キャッチアップを超えて

末廣 昭
岩波書店 (2014)

海洋アジアvs.大陸アジア:日本の国家戦略を考える

白石 隆
ミネルヴァ書房(2016)

現代アジア経済論 — 「アジアの世紀」を学ぶ 

遠藤 環・伊藤 亜聖・ 大泉 啓一郎 ・後藤 健太
有斐閣(2018)

中所得国の罠と中国・ASEAN

トラン ヴァン・トウ (著) 苅込 俊二 (翻訳)
勁草書房 (2019)

■ASEAN関係

アセアンライジング: ASEAN経済共同体の未来

西村 英俊
勁草書房 (2018)

ASEAN経済共同体の創設と日本

石川 幸一 ・清水 一史・助川 成也
文眞堂 (2016)

■メコン地域関連

躍動・陸のASEAN、南部経済回廊の潜在力 – メコン経済圏の新展開

浦田 秀次郎・牛山 隆一
文眞堂 (2017)

「一帯一路」時代のASEAN―中国傾斜のなかで分裂・分断に向かうのか

金子 芳樹・山田 満 ・吉野 文雄(編著)
明石書店(2020)

■海外に繋がる・世界を考える・学生の頃に読んだ本など

深夜特急2-半島・シンガポール-

沢木耕太郎
新潮社(1994)

ベタですが、高校生の時に、「いつか旅やバックパッカーを」と思った本。バンコクも出てきます。
文庫本は全6巻ですが、アジアの混沌とした1~2巻が特に好きでした。

わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

平田オリザ
講談社(2012)

「国際理解はわかりあうこと」と思っていた…ような気がしますが、わかりあえない、わかりあえないことがわかる、ということの意味や大切さに気づかされた本。

何でも見てやろう

小田 実
講談社(1979)

著者の目線や姿勢を学んだのと同時に、「この時代に生きて世界を見に行けていたら」とちょっと残念に思います。でも、だから、場所を変えて時間軸を地理的な水平軸に変えてみたり、いずれ見えなくなる今を見続けたりしてます。

不都合な真実

アル・ゴア、枝廣 淳子(訳)
ランダムハウス講談社 (2007)

■タイスタッフから(英語の本を選んでもらいました)

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

Yuval Noah Harari

Sophie’s World

Jostein Gaarder
Farrar, Straus and Giroux; First edition (2007)

Forrest Gump

Winston Groom
Black Swan (1994)

Great Expectations

Charles Dickens


タイの写真(オンライン授業の背景などに)

セミナーでSophiaGEDがバーチャル背景に使用していた、タイ・バンコクの風景写真です。
ご自由にダウンロードしていただき、オンライン授業・ミーティング時などに(タイにいるつもりで・相手の方にも楽しんでいただいて)お使いください。
学校のオンライン授業で、お友達や先生相手に使ってくれるような生徒さんがいたら最高です。もちろん先生方もどうぞ。

1782年、バンコクに都が移されたことに合わせて建設された由緒ある寺院で、タイで最も格式が高いとされます。翡翠の仏陀像があることから、別名「エメラルド寺院」とも呼ばれます。

バンコク全体を通して流れるチャオプラヤ川。古い街並みや王宮などの歴史的な建物は川沿いに多く位置しています。
アルンとは「暁」という意味で、三島由紀夫の小説「暁の寺」に描かれた寺院です。

タイで一番人気のナイトマーケットです。隣接するショッピングモールの駐車場から見渡せる、カラフルな屋台の屋根がぎっしり並んだ景色が、フォトジェニックなスポットとして有名です。


今後の情報

ご質問・お問い合わせは、フォームあるいは下記LINEからもお受けしております。

LINE 「Sophia GEDニュース」
(@sophiaged_jp)

新規プログラムのお知らせや、タイからの情報などを配信します。

友だち追加

旅とまなび について(Sophia GEDの探究)

Sophia GEDでは、「Travel & Learning SophiaGED」として、旅とまなびを考える情報サイトをつくっていこうとしています。

■ 旅×まなびを考える Travel & Learning SophiaGED Webサイトへ

COVID-19の影響で2020年春夏(ひとまず)のプログラムの見通しが変わったりリモートワークになったこともあり、新しいインプット・アウトプットの試みとして2020年4月1日からWebページの形として公開しつつ内容を少しずつ追加しているところです。

…本当は、セミナーでみなさんにみていただける時には、もっと中身が充実していたらかっこよかったのですが、なかなか情報や経験から理解して、噛み砕いて、整理して、文章にしたりメディアに載せていくって大変な作業です。
まさに今日のセミナーに参加してくださった中高生のみなさんと同じように、私たちのリアルで地道な探究活動として取り組んでみることができたら面白そうだと思い、進捗公開のような感じでやっていきます。LINEでもたまにお知らせができたらと思っています。